2012年1月29日日曜日

書評「アンコール・ワットへの道」


アンコール・ワットへの道 (楽学ブックス) (楽学ブックス―海外) [単行本]
石澤良昭(著)、内山澄夫(写真) 


内容紹介

アンコール・ワットおよびアンコール・トムその他の代表的な遺跡の解説書。豊富な写真で総合的に説明。


登録情報

  • 単行本: 140ページ
  • 出版社: ジェイティビィパブリッシング (2009/10/9)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4533076777
  • ISBN-13: 978-4533076770
  • 発売日: 2009/10/9
  • 商品の寸法: 20.8 x 14.8 x 1.2 cm

書評
アンコール・ワットの魅力をご存知だろうか。この本を旅行の前に読めば、すぐにでも、現地へ行きたくなる衝動に駆られるだろう。
アンコール遺跡研究の日本の第一人者である石澤良昭先生による解説は、誰もが理解できるような平滑な文章でありながら、その魅力を取り零すことなく、伝えている。初めてアンコールの歴史に触れる人でも、これを読み切れば、アンコール通になれるかもしれない。ただ、ある程度の歴史・地理・彫刻・建築・構造についての知識があった方が、より理解できるだろう。(本当は、知識よりも、その考え方を知っていることが重要。)
また写真についても、旅行者向けのものだけでなく、学術的な考察向けにも撮られており、専門的な内容も容易に理解をすることができる。特に、アンコール・ワット第一回廊の場面解説は、それぞれの部位ごとに細かく物語が説明されており、さらに対項の写真と対比することができる。これを持って、現地を歩けば、物語の面白さだけでなく、その躍動的な描写から当時のクメール人の美術意識の高さと、寺院に対する思い入れを感じることができるだろう。この様な折り込み写真は、他の書籍にはない。
本の内容においても、アンコール・ワットの概説をするのみでなく、その時代の政治経済・宗教・日常生活からアンコール朝の実態とその王の存在について、ポイントをついて解説されている。その背景を知ることにより、アンコール文明の数百年の結晶であることに気付かされ、即座にアンコール・ワットの建造の偉業を感じることができるだろう。
また、建築分野の解説では、図を用いて力学的なアプローチがなされている。例えば、回廊の迫り出しアーチや、開口部のせん断破壊に対する工夫および構造材の意匠的利用について、その技術的な手法を知ることできる。
さらに、木造軸組工法の石造への応用については、深く興味をそそられる事柄である。
最後に、この本の素晴らしい点は、遺跡と人々とのつながりについても記載していることで、それにより、生きた遺跡としてのアンコール・ワットを知ることできる。
長々と書いたが、この本を旅行前の第一に読むべき書籍として挙げた理由として、
「複数の専門書からポイントのみ拾い上げており、また、読者が惹きつけられるようなストーリー展開と写真構成となっている。」
ので、とっても判りやすいと思う。

2012年1月23日月曜日

日本とカンボジアとの関係

日本とカンボジアとの関係


日本統治前後のカンボジア

日・仏印「文化協力」
フランス領インドシナ
タイ・フランス領インドシナ紛争
東京条約
松岡・アンリ協定
明号作戦
日本の戦争賠償と戦後補償
カンボジアに対する無償経済協力供与完了について
論文「第二次世界大戦期の日本と仏領インドシナの「文化協力」前編」
論文「第二次世界大戦期の日本と仏領インドシナの「文化協力」後編」


総合史
日本・カンボジア関係略史
カンボジア主要年表


修復・保存
論文「アンコール遺跡の考古学史にみる復原の思想1